2020年の夏のオリンピックが東京で開催されることになりましたが、来年2014年は前回の東京オリンピックからちょうど50年の年になることはご存じでしたか。当時、わたしは県立の工業高校機械科の2年生でした。柔道の無差別級で神永 昭夫選手がオランダのアントン・ヘーシンク選手にけさ固めで敗れるシーンを、ちょうど古文の授業中に、先生と一緒に職員室のテレビで涙を流しながら見ていました。いい時代でした。
ちょうどそんな時です。わたしは学校で1つの失敗をしてしまいました。工業高校の機械科ではいくつかの実習が課せられますが、その1つが鍛造(たんぞう)です。金属に熱を加え、鍛えて形成する実習です。その時わたしたちにあたえられた課題は、鉄の丸棒をふいごで熱して輪の形にし、両端を熱で溶かしながら叩いて結合させ、完全な輪を造るというものでした。まず先生が見本を見せてくれました。それこそ瞬く間に、1本の棒が丸い輪に変身していきました。冷やした輪を手に取って確かめると、まるで初めから輪であったかのように、どこに継ぎ目があるか分かりません。その技術の見事さに目を見張りました。 今度はわたしたちの番です。2人1組になって、それぞれ割り当てられたふいごの前に集まりました。コークスが真っ赤に燃えたふいごに風を送りながら棒を熱していきます。そしてタイミングを見計らって真っ赤に焼けた棒を取り出し、ハンマーで叩きます。 冷やした後、出来栄えを見てがっかりしました。一生懸命叩いたはずなのに、両端がくっついていないのです。他のグループは、輪の形の良し悪しは別問題として、ほとんど両端がくっついていました。恥ずかしい思いでした。悔しかったです。 なぜできなかったのでしょう。一番の原因は、棒が金属の結晶同士が結び付くだけの温度に達していなかったからです。ですから、いくら強く叩いても、棒の両端の金属の結晶が結合することはありませんでした。後で先輩から聞いて分かったことですが、実はわたしたちに割り当てられたふいごは他と比べて力が弱く温度が上がりにくい、いわくつきのものだったそうです。少し安心しました。 1つ大切なことを学びました。金属は一定の温度に到達しないと結晶が活性化することはありません。いくら大きな力で叩いても、互いに結合することは不可能ですし、意図した形には到底近付けないのです。 この経験は、人を育てることに見事に当てはまると思いませんか。人が成長してレベルアップしていくには、必要条件があります。個人の強い想いと熱意と行動です。それらが一定レベルまで到達して初めて、リーダーやグループのメンバーなど他からの刺激が有効に働き、自分の中に変化が起きて新たなステージに上がることができるのです。 「鉄は熱いうちに叩け」と言われます。でもわたしの考えは、「鉄を叩くにはまず熱くせよ」です。人に変わるように求める前に、それぞれが想いと熱意を強くし、自発的な行動を起こすに十分な環境作りをしたいものです。
by ohkimakoto
| 2013-10-25 00:00
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