2013.11.29
 NHKのテレビで「奇跡の一本松」の話が取り上げられていました。岩手県陸前高田市の高田松原にあって昔から津波の被害を防いできた7万本の松。その松が、2011年3月11日に起きた東日本大震災で10メートルを超える大津波に呑み込まれ、ほぼすべてなぎ倒されました。ところがみなさまご存じのように、奇跡的に1本の松だけが倒れずに残り、震災直後から復興のシンボルと捉えられるようになりました。「奇跡の一本松」「希望の松」「ど根性松」などと呼ばれています。残念ながら、海水に浸かったために自然の状態で残すことが不可能と判断され、現在では内部に防腐処理を施しつつ金属製の心棒を通すという形で保存されています。

 NHKで今回話題になったのは、この「奇跡の一本松」のレプリカを作る話です。日本自動車工業会が主体となり、希望の象徴として、板金や先端技術を組み合わせて10分の1のレプリカを製作することになりました。企画から製作まで担当したのは自動車メーカー14社を代表する若手技術者たちで、企画を通して「ものづくり日本」の価値を再度世界に知らしめようとしたものです。

 技術者たちは将来を嘱望される優秀な人たちです。一緒に企画に取り組むうちに、メーカーによって仕事の手順や手法に違いがあることに驚きつつも、チームワークを発揮しながら完成をめざします。それぞれが、所属するメーカーで培った技術への誇りと、その技術をフルに発揮することによってこの企画に貢献しようとの想いから、全力で取り組みました。

 ところが、チームのアドバイザー役である先輩の技術者から思わぬダメ出しが入ります。「心に訴えてくるものがない」と言うのです。アドバイザーはこう続けました。「正確に再現することにこだわらずに、自分たちが感じた通りに作ってみたら?」彼らは戸惑いました。それぞれが持つ技術を生かして、復興のシンボルであるあの松の姿を、樹皮の割れ目から幹に残った傷に至るまで忠実に再現することが、自分たちに課せられた使命であると信じて疑わなかったからです。

 彼らは何をしたでしょうか。そうです。原点に戻りました。自分たちは何のために、誰のためにこの企画に取り組んでいるのかをもう一度考えたのです。誰にもまねのできない品質の作品を作ることにより自分たちの、ひいては日本の技術の高さを示すという目的はもちろんありました。でも、それは人ではなく自分たちに向いた想いでした。それだけでは見る人の心を動かす作品にはならないことに気付いたのです。

 彼らは被災した人々の想いに立ち戻りました。人々は1本だけ残ったあの松の木をどんな想いで見つめたのか。そして、そこから何を得てきたのか。

 この作品は今、「希望の一本松」と名付けられて、11月23日から開かれている東京モーターショーに展示されています。20ある松かさのうち7つは、被災した自動車から作られたものだそうです。

 わたしたちにも忘れてはならない原点があります。ジョン・ワズワースがヌクヒバのあの谷をどんな想いで見つめたのか、そして、そこから何を得てきたのか。ここに立ち戻れば確信と感動が生まれ、たくさんの方々と絆が結ばれると信じています。
by ohkimakoto | 2013-11-29 10:04 | 2013年分
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